キューバ危機 - Wikipedia: 1962年10月14日にアメリカ空軍のロッキードU-2偵察機が、アメリカ本土を射程内とするソ連製準中距離弾道ミサイル (MRBM) の存在を発見、さらにその後3つの中距離弾道ミサイル (IRBM) を発見した。
これに対してアメリカ政府は激烈な反応を示し、ケネディ大統領はエクスコム(国家安全保障会議執行委員会)を設置し、ミサイル基地への空爆を主張する国防総省やCIAの強硬論を抑えて、第1段階としてキューバ周辺の公海上の海上封鎖及びソ連船への臨検を行うことでソ連船の入港を阻止しようとした(これに対してソ連船は海上封鎖を突破することはせず、また臨検を受けることをよしとせず引き返した)。
アメリカ〔ケネディー〕があれほどまでに強気に出られたのは、あくまでもアメリカの強大な軍事力の存在があった。当時のソ連の軍事力では戦争を始めてアメリカを部分的に攻撃し破壊することは可能であったが、アメリカを全面的に壊滅させることは到底不可能であったのだ。一方で当時のアメリカにはソ連を全面的に壊滅させるだけの核軍事力があった。フルシチョフは冷徹な判断が出来るまともな人間であったので、ここでキューバのカストロと心中する覚悟でアメリカを事を構えてもなんら得することはないとの冷静な判断が出来たのである。ソ連に見捨てられたカストロは激怒したが所詮ごまめの歯ぎしりに過ぎなかった。
同時にフルシチョフはソ連国内を完全に掌握している自信があったので、国内の好戦的なウヨ・ポピュリズム感情は無視することが出来た。文句を言う輩はシベリア流刑にすればよかったのだ。国内政治で強力な政治家であることではじめて国際関係で譲歩が出来るのである。
ひるがえって現在の極東の情勢を考えると、こういった理性的な交渉事がとても出来る状況にない。衆愚的なポピュリズムと感情論にあまりに振り回される政治構造が定着してしまっている。戦略的にはまるで意味もない小さな岩礁の帰趨を巡り、国民感情と面子だけで物事が進んでしまうのだ。この舞い上がった国民感情を押さえ、バランスを取り冷静化させるメカニズムは、宗教コミュニティー規範が本来的に欠如するアジア的生産様式文化圏においては、とても脆弱である。市民運動とやらのオルターナティブ規範も簡単には出来上がらないだろう。地球上でこれだけ多くのつまらない領土紛争がある地域は東アジアだけである。おまけに領土問題以外でも、政治がこの国民的感情論に振り回される状況が続いている。悲観的にならざるを得ない。
1 件のコメント:
この宮台論文は秀逸です。一読お勧め:
http://www.miyadai.com/index.php?itemid=985&utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter
でも宮台センセのいう「住民投票」と「ワークショップ」というのが日本で機能するとは到底思えない。だから「パターナリズム」しかないのでしょうが、これは宮台氏が想定するような「エリート」が主導するようなものとはならないでしょう。せいぜい「村共同体」への復帰。これはもっと悪い。
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